1972年に起きた飛行機墜落事故でアンデス山脈の氷河に墜落した生存者の実話を映画化
1976年のドキュメンタリー『アンデスの聖餐』以降、1993年の『生きてこそ』に次いで製作された本作。
酷寒のアンデス山脈で72日間のサバイバルを強いられた若者を中心とする人々の行動や葛藤を描いていて、事件当時の注目点である、亡くなった人の肉を食した部分に関しては過去作のような直接的描写は少ない。
墜落時は29名が生存していたが、ほぼ軽装であり寒さのため次々と亡くなっていく。生存者は墜落した機体の中で過ごし、無駄に動かず救助を待つのが良いと思えたが、豪雪や雪崩等が襲い極めて困難な状況に追い込まれる。
未だ20代の若者が直面する自然の驚異と忍び寄る死への恐怖は想像を絶するものであろう。その恐怖に晒され続けると死の恐怖は薄れ、自分の死が無駄なものでは無い事に安堵するという、体験者しか語れない心情に心打たれる。
実話であるため結末を言ってしまうと、29名中生還したのは16名で、救助後の対応やマスコミが騒ぐ様子などが描かれている。
救助後の現場の寒々しさも映していて、2度と戻りたくないという思いが伝わる。