クリーム

雪山の絆のクリームのレビュー・感想・評価

雪山の絆(2023年製作の映画)
4.2
凄い見応え。素晴らしかったです。
事故や雪崩、悪天候の描写は凄まじく、事故後、生き残った者達の凄惨なサバイバルを丁寧に描いています。息つく暇もない程に次々襲いかかる絶望に「もし自分なら?」と一緒に神経をすり減らしながら観ました。間違いなく記憶に残る作品だと思います。残酷な部分をしっかり描きつつ、優しい部分も忘れない。J·A·バヨナ監督作品は、好きです。

1972年10月13日。ウルグアイの大学のラグビー選手団を乗せ、チリへ向かっていたチャーター機が、アンデス山脈中心部に墜落してしまった。乗客45名のうち生存者は29名。想像を絶する過酷な環境の中に取り残された彼らは、生き延びる為に究極の手段を取らざるを得ない状況に追い込まれて行くのですが…。



ネタバレ↓



パイロットは死亡。通信不能。外は極寒。機体の中で身を寄せ合います。翌朝、遺体は山腹に寝かせ、機体の隙間を埋め、寒さをしのぎます。荷物でバツ印を作り合図を送りますが、助けは来ません。
墜落6日目、最後の食料を分けます。
墜落8日目、捜査が打ち切られます。ヌマ達はラジオで知り、絶望します。
黒い尿が出て、遺体を食べるしかなくなります。生きる為に遺体を解体し、誰のものか解らない様にして、食べます。ヌマは暫く拒否し続けますが、食べます。
尾部を探しに行き、斜面を上ってみる。無線を直そうとする。等必死に生きようとしますが、その都度、絶望を味わいます。ヌマも皆に協力し積極的に動いていましたが、足を怪我してから弱って行きます。そして、ヌマが亡くなり、少し寒さが緩み始めた頃、歩いて山を超え3人で、助けを呼びに行く決意をします。途中、1人が皆の元に引き返し、体力のあるナンドとロベルトが歩き続け、谷底に着いた時、対岸のチリ人に発見され、一同は助けられるのでした。
乗客45名中29人が死亡しましたが、16名が雪山で72日間生存し続ける奇跡を起こしました。

※ラストの病院でのガリガリを通り越し骨と皮の肉体は、本物なのか?凄かったです。

ヌマが主人公なのに途中で亡くなった時、感情移入していた為、話の中に入り込んでいたのに放り出される感覚でした。雪山に取り残された彼らとリンクさせられた気がします。問題の人肉を食べる行為。これは、想像しただけで辛過ぎました。友人の肉なんですよね…。彼等が皆で自分が死んだら肉を食べて良いと話すシーンは、絆の深さを感じると共に思いを察すると辛かったです。ラストも助かった者達が英雄視され、本人達が戸惑う現実まで、ちゃんと描いているのが素晴らしかったです。良い映画を観ました。
クリーム

クリーム