Asino

雪山の絆のAsinoのレビュー・感想・評価

雪山の絆(2023年製作の映画)
3.8
同じ事故を扱っている「生きてこそ」は未見。
基本サバイバルものとか怖いので見ないし、事故の時の映像とかがすごいというレビューも見てますます躊躇したわけですが。
若者を中心とした集団がこんな状況に追い込まれる話でありながら、過剰な盛り上げとかはなく演技的にはかなり抑えた演出で、しかし畳み掛けてくるような事実としての苦難の連続でけして目を離せない感じで、2時間半近いのに一度も休憩とかせず見てしまった。
よかったのはいったいどうやって撮ったの?という感じのスペクタクルな部分だけでなく、食料が全くない一方、亡くなった乗客の遺体はたくさんある状態でどうするか、という問題や、救援を待つのか助けを呼びに行くのか、春を待つのか今すぐ行くのかという問題を、彼らが静かに話し合い、多くの場合それは信仰の問いに繋がっていくところ。

結果がどうなるかは知ってて見たわけなのでずっと「早く話が進んで助かるところが見たい」の気持ちだったんだけど(苦笑)、前半のナレーションで思い込んでいた結末と違う点が後半出てきてえ?となり、その辺の構成がうまいな、と思った。

しかし、監督がバヨナだから見たとこもおおいにあったんだけど、「インポッシブル」以外の彼の作品は好きなんだったってことをちょっと思い出しもした。
「インポッシブル」も、津波の状況の映像がすごくていったいどうやって撮ったの?の連続だったけど、東日本大震災のあと見たので、あの結末には多いにもやったし、いったい何が言いたかったんだたくさん亡くなった地震や津波をスペクタクルの素材に使うな、とさえ思ったわけで。

この映画は生存者のアドバイスもいれて撮ったとのことだったけど、きっと帰ってきて元気になってからの方が精神的にすごく辛かったと思う。むしろそっちが気になってしまった。亡くなったかたのご遺族とかの気持ちを思うとね...。
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