1972年10月に雪のアンデス山中に墜落し、72日間を生き延びた乗客達の「アンデスの奇跡」と呼ばれる生還の実話を元にした何度目かの映像化作品。
私は1993年のフランク・マーシャル監督、イーサン・ホーク主演の「生きてこそ」をレンタルで観ていたけど、本作はCGや特殊メイクの進歩により、よりリアルに事件が描かれていたと思う。
有名な事件なのでネタバレも無いと思うけど、ラジオで捜索が打ち切られたことを知ったウルグアイラグビーチームメンバーを中心とした16人の生還者は、生存のために事故による直接死や衰弱死した犠牲者らの遺体の肉を食べて飢えを凌ぎ72日間を生き延びたという。
敬虔なクリスチャンでもある彼らでなくとも人の道に背く行いでその逡巡も描かれるが、一人がそれを口にした瞬間に堰を切ったようにみなが飛びつく様や、食べやすい部位が無くなっていった終盤では骨までしゃぶる描写が実にリアル。
リアルといえば事故の再現シーンや雪崩の描写・音響もよく出来ていたが、なんといっても飢餓と疲労で痩せ細っていく彼らの体型や肌の質感の再現が93年版とは格段に見事だった。
観た人の多くが「自分ならどうする?」と考えずにいられないはず。