BillyKilson

雪山の絆のBillyKilsonのレビュー・感想・評価

雪山の絆(2023年製作の映画)
3.6
オリジナルというかこの飛行機墜落遭難事故を描いた1993年作品の「生きてこそ」は見た事あり、同じ題材なわけで真新しさはないんだろうけどサバイバルモノな映画ってなぜか好きだし、Netflix配信で観れるので鑑賞。
人が極限の状況の映画や物語ってすごく辛そうだし大変そうだけどなぜか見てしまう。
厳しい環境の中での知恵や工夫や文明のありがたさ、自然の無慈悲さ、人間の強さ、脆さ、社会から切り離された時の倫理観やルールの無意味さとそれを捨てる時の葛藤や、人間の動物的な本能が露わになる様とかが好きなんだと思う。
「レヴェナント」「キャストアウェイ」とか最近なら「エベレスト3D」とか、あとはクレイジージャーニーの「アドベンチャーレース」とかも好きで見ちゃう。

中学か高校くらいの頃だけど、父親から「飛行機事故の生存者で人肉を食べた人たちがいる」と聞いていて興味があり「生きてこそ」を見た。
見るまでは人肉を食べたと聞いて頭おかしくなって半狂乱のような状況を思い浮かべていたけどそうではなく倫理観と生きる為の手段との葛藤の末だと知った。
ただ割と「生きてこそ」ではその辺がサラっと描かれているような印象だったのに対し本作はそこをもっと掘り下げて時間を掛けているのはよかった。


【本作は史実でありネタバレもない様なものだけど、一応以下ネタバレもあり】

「生きてこそ」ではラストもあっさりとしててというか、なんか緑の大地が見えただけで「もう助かったー!!」って感じで終わりだったような記憶だけど、本作はどうやって助かって、助かったその後も多少描かれていてそこはよかった。
助かったって瞬間はそれまでの本当に厳しい状況を見てきたからとても感動してウルっときました。

人肉食に関してはこういう物語で厳しい状況の中での生きる為の苦渋の決断というのを見せられると人肉食を批判する人ってあんまりいないのかなとは思うけど、
ただWikipedia等でこの事故について調べたりすると16人が生還し世界中で奇跡だと感動的に報じられたけど、人肉食で生き残った事が報じられると多くの批判もあった、とあるけど、そこはどういう内容でどれだけの批判があったのかはどれだけ調べても分からなかったので、この映画でその辺も掘り下げて描いてほしかった。
ていうか生還のその後だけでも色々なドラマや人肉食を告白する経緯(最初は誰もそれを言えなかった)とかその後の罪悪感や葛藤等で映画一本出来そうなくらいだなとは思う。

人肉食についての批判は、そこはキリスト圏やイスラム教とか宗教観によって日本人には理解し難い感覚もあるのかなとは思うけど。