伊緒

雪山の絆の伊緒のネタバレレビュー・内容・結末

雪山の絆(2023年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

もっと話題になってもいいのに!と思えるほどの良作でした👏さすがインポッシブルのバヨナ監督作だけあって、事故のシーンなんかもめちゃくちゃリアルであり、痛々しい描写の数々。

とりあえずタイトルがダサくて、「絆」とか「奇跡」とか書かれてしまうと斜に構えてしまう自分がいるのですが、それでもやっぱり彼らの中には絆があったし奇跡以外の何者でもなかったなと感じる。これが実際に起きたことだなんて…。

1972年、45人の客が乗った飛行機が機長のミスによりアンデス山脈に墜落。極寒の雪山で72日間すごすこととなった生存者16人は、一体どのようにして生き残ったのか──。

この事故のことはほとんど知らなかったけど、昔世にも奇妙な物語で同じように雪山で遭難した話があって、「雪山で何も食べるものがなかったら人を食べるって事件が昔あったね」と母が言っていた。その時は「そこまで精神が崩壊してしまうのか」と怖くなったけれど、この作品を観てそれが大きな間違いだったことに気づいた。Wikipediaで調べたけど、それによる誹謗中傷も酷かっただろうと思う。でもこの作品を観ていたら、その食べた遺体は「彼らの家族であり、旧友であり、生半可な覚悟ではなかった」と描かれていて、あの時の彼らの想いを伝えたい!という監督の気持ちが伝わった気がした。

食べるか食べないかめちゃくちゃ悩みながら、奥深い雪を掘って葉っぱや生き物を探したり、飛行機内のクッション材に藁が使用されていないかを確認したり、革靴を食べようとしたり…だけどどうやっても食べれるものがなかった。生きるためにやむを得ない選択だった。ヌマが死んだ時めちゃくちゃショックだった😭あの場で怪我をすることは本当に致命傷だし、死と隣り合わせでいつ誰が死ぬかもわからない環境。雪崩のシーンも絶望に息を呑んだ。

遠征班の3人の苦労や、岩山や川が見つかった時のあの安堵感。あとどんな環境化にいても、人と人との関わりが人を生かしているんだなと感じた。みんなで詩を読んだり冗談を言い合うシーンが印象的でした。

とにかく…観て!!
伊緒

伊緒