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雪山の絆のレオンのレビュー・感想・評価

雪山の絆(2023年製作の映画)
4.5
高評価ネトフリ新作 (アカデミー外国長編映画賞ノミネート作 ★平均3.9 ネトフリ見放題)
奇をてらわず史実を真正面から描いた超力作! こういう作品こそ、もっとスポットが当たるべき。

冒頭、ラグビーのワンシーンから、終了後パスするしないで軽い口論、チリへの遠征試合の旅費集め、教会のメモ伝達、学生デモ、カフェでの雑談(女性の名前だけで"鼻血物"の台詞に思わず笑)、空港で荷物に・・機内でのジョーク、等イキイキ描写が続き、そして雪山上空へ・・・。

この間なんと、たったの9分! ほぼ1分毎にシーンチェンジしている! 作品によっては、事が起こるまでの平穏を30分以上かけて見せる、ヘボ監督もいるが、このバヨナ監督は見せたい物をハッキリ脳で捉えて、余計なシーンは見せず物語を素早く進めている。 ハッキリ言って上手い!
(チェックすると、過去5作平均★が3.8の高アベレージ監督だった♪)

この9分経過時点で、「うぬぬ! これは久々にネトフリのヒット作かも!」の予感が♪

その後は皆さんが想像する様なシリアスな展開に・・。
事故シーンも、とんでもないスペクタクルCGを使うのでなく、乗客のおののく顔、風圧で一直線に流される髪、衝撃でチェアーが前に圧縮されその間に挟まる体、挟まり折れる足、等で実際に考えられる映像を、リアルに見せる事で、インパクトを増している。

その後は過酷なサバイバル・・。
対寒装備もなく、水分は溶けた雪でなんとかなるが、食料は、その“残されたもの”しかない・・。

今作が優れているのは、過剰演出なしに、常に登場人物の心情表現を加味したシーン展開をしている点。
そして生存している者どうしが、罵り合うことなく常に協力している点が、胸を打つ。 (邦題タイトルの"絆"を如実に表現)

下手な監督ほど、ここぞ感動ポイントとばかりに、いらぬ演出をしてしまい、それが違和感に繋がったりするが、今作はそれが全く存在しなかった。

制作に入るまでに、実際の生存者や犠牲者の家族にまで長時間インタビューを試み、ほとんどの役者が新人にも拘わらず、各人物を見事に描いている。

特に仲間がふざけている時にも、いち早くシートベルトを締めた、慎重で冷静な「マヌー」役の台詞やメモには度々目が潤み、自然かつ説得力ある演技力が目に留まる。

襲いかかる自然現象や、生存の為の創意工夫など、冒頭の9分とは打って変わって、じっくり魅せる。 が、モニターから目が離せず引き込みむ。

結末は是非ご視聴を♪
オススメというより、ネトフリ加入者なら見ないと損かと。
★評価は現在の平均がかなり低いと感じ、感じた点より、さらに0.3近く加点して4.5に変更♪

PS
制作費は100億超えで、実際にその現場まで飛行機残骸を運んでの撮影など経費がかかっていて、映像で見るより資金面でも力作だった。
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