ククレ

雪山の絆のククレのネタバレレビュー・内容・結末

雪山の絆(2023年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

学生の頃、「生きてこそ」を観て衝撃を受けたなぁ。壮絶な実話。あの作品をスペイン語圏で再映画化することはとても意義があると思う。でも、しんどい話なのはわかってるから、映画館では観なかったやろうな…。体調の良い日に何回かに分けてネトフリ観た。
自身があの環境にいるような強烈な映像体験…素晴らしい作品やったわ。

以下はネタバレ…







はじめの墜落事故のリアル…凄まじいな…。いろんな飛行機事故の映画を観てきたけど、あの映像の臨場感はすごい。二度と見たくないくらい恐ろしかったわ。

キャストがみんな無名で、それぞれの個性もあまり掘り下げないから、一人ひとりの区別がしにくかった。どんどん仲間が亡くなっていく展開も、あまりにも続きすぎて麻痺してきてん。だから、一番感情移入していたヌマが亡くなってしまったときにはびっくりした。モノローグあるから主人公やと思ってたのに〜。

中盤は観ていて本当に苦しくなった。「雪の牢獄」に閉じ込められているような地獄。遺体を解体して細かく分けて…生で食べる。後に「聖餐」と言われてたけど、宗教的な「理由付け」を考えないと気が狂ってしまうわな。ヌマが死ぬ前にナンドに「自分の肉を食べてもいい」と言うシーンは涙が出た。72日間も生き残るほうが苦しいやん。いっそのこと最初の墜落で死んだほうがマシだったと思えるくらいやで。

チリを目指して山を超える。頂上の景色が素晴らしい!見渡す限り、生命が存在し得ないような雪と岩が連なる世界…町なんか見えないし絶望しかないんやけど、「天国」かと思うくらいの美しさ…。あまりにも強大な自然。人間なんかとるに足らない存在なんやな、と思い知らされる。それでも希望を捨てずに、仲間のために先へ進むんやね。

川でトカゲを見てはじめて動物を見て喜んでいたら、村人にも遭遇。このシーンがとても面白かった〜。人に会えたことがこんなに嬉しく思えるなんて!ヘリが救助に現れるシーンにも感動!本当に彼らに感情移入しながら観てたことに気付いたわ。これまでの閉塞感を打ち破る爽快な達成感!頑張って観てよかった。

ウルグアイに帰ってからは、称賛や祝福を受けるシーンを描いてるけど、これからも人肉を食したことの「罪の意識」をずっと背負わないといけない。世間からも非難されたりするのを知ってるから、いたたまれない気持ちでエンディングを観ていた。あの事故を経験した彼らにしか知り得ない壮絶な「選択」があったのだと思う。彼らにしかわからない「絆」もあったんやろうね。
ナンドは、2006年に体験談を本にしてるんやね。
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