アキヒロ

雪山の絆のアキヒロのレビュー・感想・評価

雪山の絆(2023年製作の映画)
3.8
見ているだけで凍え死にそうになる。
『火垂るの墓』と同じく
傑作かもしれないが、決して好きではない作品。

ウルグアイ空軍機がアンデス山脈に墜落。
生存者は必死に生きるために雪を食べてなんとか生き延びようとするが、
ついに食料は尽き、人々は死者の人肉を食べ始める。
始めは抵抗していた者たちも、捜査打ち切りのラジオを聞き、仕方なく食べ始める。
彼らはきっとその瞬間「食べる」ということの意味を再認識したと思う。

僕ら現代人は普段、動物と植物の死体を食べて生きているのだが、「死」という部分を目に入らないようにしているだけなのだと…。
ハイエナやコンドルが「死肉を食べる動物」だと言うとき、実は「我々も死肉を食べる動物」だということを人は忘れている。

自分がこのような状況に置かれたら…と考えると肝が冷える。
でも、そういう状況は少なからず誰しもに訪れる可能性がある。
いつも飛行機に乗る時は、もしも墜落したら…なんてことは考えないようにしているけど…。

中盤でタンパク質を摂取したことによって人々が談笑するシーンが挟まれるが、そういうワンシーンも実際にあったかもしれない。
でも、その直後に雪崩が機体を襲うんだが、もう泣きっ面に蜂…というか、どんだけツライ目に遭うんだろうと泣きたくなった。
それでも何度でも何度でも諦めず生き延びようとする学生たちの生命力には感嘆させられる。

「母とサッシーの遺体は食べていい」
ラグビーチームたちのチームワークあってこそ成し遂げられた偉業だったと思うし、同胞達の血肉となって生きられるなら、食べられた者たちも本望だったと思いたい。
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