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雪山の絆のrage30のネタバレレビュー・内容・結末

雪山の絆(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

雪山墜落事故からの生還を描いた作品。

雪山に墜落するというだけでも絶望的なのに、そこから更なる絶望が生存者達を襲います。
何せ、映画開始から人肉食に至るまでで、映画の3分の1しか経過していませんからね。
普通だったら、人肉食の描写がクライマックスになりそうなものですが、その後も捜索の打ち切りを知ったり、雪崩で生き埋めになったり、バッテリーを見つけても無線を直せなかったり。
最終的には、助けを求めて下山するのですが、あまりにも広大な山の連なりに「これは無理だろ…」と思わされてしまう。
実話ベースなので、助かる事は分かっているはずなのに、ここまで絶望的な気持ちにさせられる作品も珍しいのではないでしょうか。

ちなみに、人肉食描写があっさりと描かれるのも本作の特徴的な部分で、中にはそれを理由に本作を批判している人も見掛けました。
でも、個人的には、このあっさりとした感じが良いなと思っていて。
あの状況で人肉食への葛藤をグダグダ描かれても冗長に感じるだけですし、生存者達を変な色眼鏡で見る事にも繋がりかねない。
人肉食を必要以上にセンセーショナルに、タブーとして扱い過ぎてる気もするし、そこばかりに注目が行くのを避ける狙いもあったのかもしれません。

本当に、よくあの状況から生還したなと思わされますが、彼らが経験した事を考えると、奇跡という言葉で評するには、あまりにも生易しい。
かと言って、これを人間の強さや生命力と呼ぶのも違う気がしていて。
ただただ、「人肉食をしながら雪山で72日間生き延びた人間がいた」という事実に打ちのめされる作品でした。
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