Violet

雪山の絆のVioletのネタバレレビュー・内容・結末

雪山の絆(2023年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

衝撃的な内容だった。
これから起こる悲劇を知っているからこそ、空港で家族や親しい友人たちに別れを告げるシーンがとても苦しかった。
極度の脱水状態により尿は黒くなり、栄養不足で歯茎が弱くなり歯がゆらゆらしだす。
最終的に、生きるために仲間の肉を食べなければならない状況に陥る。
1番辛い肉の解体作業を、人の肉だとわからないほど小さく砕いて渡すフィトの強さと優しさには胸を打たれた。
そんな辛すぎる状況の中でも、時折仲間たちが冗談を言って笑い合うシーンはわずかな救いだった。

ラジオで捜索の打ち切りが伝えられたときの絶望。その絶望の知らせのあとに流れる呆れるほどにお気楽な自転車のCMがまだ辛く、印象に残っている。

雪山の生存者たちがチリを目指すシーンでは、目印もないまっしろな雪の中を進んだり、仲間のいるもとの場所に戻ったりできる方向感覚がシンプルにすごいと思った。わたしは絶対に戻れない自信がある…。ラジオを直せるのもすごいよね…。
彼らの肉体的・精神的な強さ、そして頭の良さがあったからこそ、16人が故郷に帰ることができたんだと思う。

トムホが監督・出演者・実際の生存者の方にインタビューしてる動画では、映画の裏側がよくわかって面白かったので興味のある方はぜひ!
https://youtu.be/qrmQ6PopofQ?si=mDgm_fVcbDIpAi6R

メモᝰ✍︎꙳⋆
⚫︎グリーンバックなし。過酷な環境での撮影だったので演技は不要。
雪崩のシーンはとても過酷で、発熱したり病気になったりする人もいたとのこと。

⚫︎役者さんたちは、いつか生存者が見ることを意識して撮影に挑んだという

⚫︎同じ人間同士、一緒に生き残るという考え方。
犠牲者は生存者に生きるチャンスを与え、
生存者は犠牲者ひ映画で再び命を吹き込んだ。
この事故にかかわった300人以上の人々を招待してウルグアイで試写会を実施。上映後は割れんばかりの拍手。50年間、話すことを禁じられていた。タブーから解放された。この映画が生存者・犠牲者の人たちの心を救ったのかなと感じた。

⚫︎映画では乗客45人全員の名前が記される

⚫︎飛行機墜落のシーンには1ヶ月を要した

⚫︎感情を引き出すため、音楽を流して撮影する監督独自の方法。『インポッシブル』の撮影から、トムホは泣く演技をする時は今でも必ず監督からもらったプレイリストを聴くそう。
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