オプティマス

雪山の絆のオプティマスのレビュー・感想・評価

雪山の絆(2023年製作の映画)
4.2
雪山に不時着した約50名の乗客。極寒の地で一人一人息絶えていく。それでも生きることを諦めず、互いを助け合い何とかして救助を待つ、雪山でのサバイバルノンフィクション映画。

サバイバル映画といったら、少ない持ち物や知識を活かす様を描くことが多いです。
直近で見たNetflix配信のノーウェアでも僅かな物資で試行錯誤してその場を乗り切る姿を描いていましたが
今回は特にキャラの表情や人間関係をベースに物語が進んでいきます。
カメラも表情や生々しいキズなどをドアップすることが多く、シーンによってはかなり地獄絵図でした。

他のサバイバル映画のように物で何か組み立てたりする様子をしっかり映すことはあまりありませんでした。
もちろんスーツケースなど使って暴風に備えるシーンもありましたが
多くは見せませんでしたし、どんな持ち物があったのかもはっきり分かりません。
それほどヒューマンドラマに重きを置いていたように感じます。

サバイバル映画でいちばん過酷なのが食料問題で
最終的に行きつくのがカニバリズムです。
その時も宗教的な考えと飢えとの戦いがキャラクター達を苦しめます。
僅かな会話すら幸せに感じることも、その後に起こる災難も画面上から見ていてしんどくなりました。
実際にあった出来事ということや映像綺麗なこともあり、リアルさが更にこの映画の質を上げた気がします。

大学の同級生同士、夢を持って旅立ち災難に巻き込まれ、死と隣り合わせになりながら、協力し決断する姿は昔の人の強みだと感じました。
私も含め今の若者が同じことになったら、互い争い「どうしよう…」と言いながら静かに死んでしまうかもしれません。
昔の方の生命力というか…特に今の日本には無い協力性というか…素直に凄いなと感じました。