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欲望の翼 4Kレストア版のdm10foreverのレビュー・感想・評価

欲望の翼 4Kレストア版(1990年製作の映画)
4.2
【ウォン・カーウァイという時代】

僕がまだ若かった頃。
朝も早くからサッカーの練習に明け暮れていた僕は、早朝5時半から「天丼」や「カツ丼」でも当たり前に食べてましたが、それ以上にサッカーで消費していたので、全く太らず胃もたれもしませんでした。

(たくさん動くためにはたくさん食べる)という、まるで「アメ車」のようなタイプですが、それが性格にも影響したのか、とにかくこの頃の僕は「見た目にもドッカンドッカンと激しいハイカロリーなアクション映画」ばかり観ていました。

そんな頃ですから、当然ジャッキー・チェンなんかが出ているカンフー映画も沢山観たわけですが、そのイメージのせいか「香港映画=カンフー、アクション映画」という固定観念が出来上がってしまったんですね(まだまだ若かったので「韓国映画」と「香港映画」の区別すらもイマイチついてなかったし・・・)。

ってな感じで、どちらかというと「男と女のなんちゃら~」とか「すれ違う恋愛模様が云々」系の物語は「こんな、血も肉も沸かないような映画の何が面白いのか?」と鼻息荒く否定していた始末ですし、さらに「香港と言えばジャッキー」と信じ切っていた僕は、ウォン・カーウァイは「じゃない方」の映画を作る人っていうイメージだったんですね(勝手なことを申しておりますが、あくまでもイメージね)。

そんな自分も年を取ってきて、流石に朝食から天丼を出された日には≪太田胃散をください・・・≫と小声で呟く歳になった(・・・っていうかかなりキツイ)。
映画の好みにも、まるで「勢いで食べる油ギッシュなカルビ」だけではなく「淡白な白身魚の刺身を一口ずつ味わう」かのような「愉しむ」という余裕も持てるようになった。

そして改めて出会う「ジャッキー以外」の香港映画たち。
今観ても、いや、今観るからこそ自分の中に沁みてくる新鮮な感覚がそこにある気がする。
続きはネタバレも含む故、フィルターかけて「裏の路地にある公衆電話」にて・・・。
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