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Ryuichi Sakamoto | Opusのnomoreのレビュー・感想・評価

Ryuichi Sakamoto | Opus(2023年製作の映画)
4.3
Ars longa,vita brevis

亡くなる7ヶ月前に8日間かかって演奏した20曲。
彼が残した最初で最後のソロピアノコンサート映画。

場所は「日本でいちばん音がいいスタジオ」と彼が評するNHK509スタジオ。

ピアノは彼のためにカスタムメイドされたYAMAHAのグランドピアノ。

観客はいない。
モノクロの映像。

映し出されるのは坂本龍一とピアノだけ。
余計なものが一切ないシンプルな空間で音だけが鳴り響く。

観ているこちら側も息を呑み、余計な音を立てないように彼と指先を視詰め、耳を凝らす。

まるで彼が命と引き換えに、音を差し出してくるような、一音一音厳粛なピアノの響きだった。

体調はもちろん万全ではなかっただろう。
休憩を入れながら、それでも自分の曲を慈しむように、大切に、懸命に、情感を込めてピアノを弾く彼の姿。

彼の紡ぎだすピアノの音が胸の奥まで沁みてくる。
自然と涙が溢れてくる。

坂本龍一はもういない。
喪失感は未だ消えてはいない。

けれど、彼はたくさんの音楽を残してくれた。
その音楽は、長く私たちの中に生き続ける。

Ars longa,vita brevis
芸術は長く 人生は短い

最後に素晴らしい音と映像を残してくれてありがとう。
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