このレビューはネタバレを含みます
坂本龍一、最後のopus
aubadeからの畳み掛けが凄まじかった
大好きな美貌の青空とSheltering skyも聴けると思わなかったので嬉しかったです
伴奏以外の部分では編集の段階でマスターを落としていることや、敢えてミニマムな作品にしていることで、楽曲そのもののみに集中ができる そんな制作背景も容易に想像出来てしまうような、丁寧な作りだと感じました
是枝監督の'怪物'を鑑賞したときや、岐阜へ行ったとき、仕事の帰りだったり、彼の作品を聴いていたその瞬間が、環境が、ありありと伴奏の生み出す余白に詰まっていくようだった
最後はヒポクラテスの言葉で締め括られる
'Ars longa, vita brevis'
ずっと平面の印象があったピアノ楽曲を、立体的に、多角的な印象に変えたのはわたしの中で彼が初めてだった
まだ彼がどこかで生きているのではないかと錯覚したけれど、やっぱりそんなことはなかった 人間としてではなく、芸術として生きていると捉えることにする