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花真珠の一のレビュー・感想・評価

花真珠(1955年製作の映画)
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ファーストカットの俯瞰で映る船がミニチュアのおもちゃ丸出しで切なくなるが、身分違いのグッバイ・ファーストラブな話で素直に感動した。宮家の娘として生まれながら病弱ゆえに婚約も破談になり一家から隔離されている日比野恵子が執拗に「人の役に立ちたい」と嘆くのがなんとも切実で、空襲の最中「わたしのところに爆弾が落ちればいい」とまで言い出すのには、僕も宇津井健と同様「そんなことありません!」と元気づけたくなった。出家した日比野と宇津井の最後の対面が無言のまま、互いの胸中のボイスオーバーで済まされるのもなんかグッときちゃう。
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