ワンコ

ロイ・ハーグローヴ 人生最期の音楽の旅のワンコのレビュー・感想・評価

4.0
【無題】

予想してなかった話の展開だった。
楽しみにしていた作品だったので、レビューを書くのが辛くなった。
ちょっとショックだったのだ。

ロイ・ハーグローヴは、僕たちと同時代のジャズ・トランペッターで、僕らより上の世代にはジャズ・ジャイアントと呼ばれる人が結構いるのに対して、ハーグローヴはこの世代のジャイアントになるなんてかってに思っていた。

ただ、ミーハーよろしく、ハーグローヴをちゃんと知ったのは、グラミー賞を獲った「ハバナ」で、実は、時代を経るごとに進化する…というか、変化するその後の彼の演奏の方がより好きになっていった。

「モーメント・トゥ・モーメント」はバラードだけれども、実は、その後の都会的というか、新しい時代の疾走感と様々なジャンルも組み合わせたようで、歌ったり、泣いてるように聞こえる彼の演奏がもっと好きで、これはきっと世界中で愛されるのだと思った。

映画では、ドラッグの経験もあると言っていたけれども、ドラッグとは縁遠いと思っていたし、腎臓病もあれほどのシリアスさだとは知らなかった。

そして、マネジャーとの関係。

衝撃だった。言葉を失った。
「ヨーロッパ人は、ジャズを芸術として敬うけれども、アメリカ人は売れるか売れないか」
マネジャーをかばいつつも、その心の中は複雑だったのだろうと思う。

腎移植のチャンスはあったのに、忙しさが理由で……なんて聞くと、このショービズ界の生き馬の目を抜く感じは反吐が出る。

RHQは最高だったし、海野さんに対するコメントもあって、ハーグローヴは、若くして、本当にジャズ界に貢献したと思う。

もし音源があるのであれば、最後のツアーの演奏を聴いてみたい。

それは、ハーグローヴのファンのみならずジャズファンのたっての願いだと思う。
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