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サイレントラブのぴとのレビュー・感想・評価

サイレントラブ(2024年製作の映画)
4.0
完全に光を消した山田涼介が危うくて今にも消えそうで。美しさの前に立ちはだかる二人の関係の儚さ、危うさが際立つ作品に仕上がったのは、おそらく蒼の過去と美夏の苦悩をしっかり描いたから。
本作を支えたのは間違いなく自然音、ピアノの音そして久石譲劇伴。
ふとした時のピアノの音やガムランボールの音、自然が生み出す音、人が生み出す音、それに優しく寄り添うような久石譲の音楽。
その全てが美しくて優しく、二人を取り巻く音がこの作品においては非常に重要な意味を持っていたなと思う。様々な音が一つ一つ際立つ様を是非、劇場で。
そして、特筆すべきはやはり主題歌「ナハトムジーク」
作品に寄り添いながらも、容赦なく劇場の空気を掌握するミセスの楽曲には毎度驚かされる。(ラーゲリ然り)
予告で使われていた部分がラスサビだと知っておったまげたた…反則…最高だった。

ギラギラ、キラキラ、諦めることに慣れてしまった役…など、陰から陽まで俳優・山田涼介が演じる様々な役を見てきたけど、目から湧き出る覇気が全く無く、生きる気力をも感じさせない佇まいは初めて見たかも。普段放つあのキラキラを自在に封じたり開放したりできる山田くん恐るべし。

余談:ポスビジュ、めちゃくちゃ綺麗だな……どこの海岸だろ、と思いながら見ていたらまさかの地面には泥水、そして工事現場(?)の一角だったとは誰も想像できなかったのでは。光と水と二人でできた画、あまりにも綺麗だった。
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