ポンコツ娘萌え萌え同盟

火だるま槐多よのポンコツ娘萌え萌え同盟のレビュー・感想・評価

火だるま槐多よ(2023年製作の映画)
3.3
本作が最初に上映されたのが渋谷じゃなくて新宿で良かった。もし渋谷上映だったら鑑賞後に若干の聴覚過敏だけじゃ済まない感覚に襲われていたかもしれない。
視線恐怖症じゃない。今作は聴覚だ。でも渋谷だったら本作の鑑賞後に完全にのまれて頭がおかしくなっていたかも。

大正時代の画家村山槐多のインスパイアを受けた本作ながらも、自らをカイタの分身を名乗る男、槐多の尿する裸僧に狂う女、能力者の青年たち。青年たちを双眼鏡で観察する謎の人物と登場人物からして間違えなく寿保ワールド。
佐藤と夢野タッグらしい電波も受信しながらも、youtubeの配信にのせた青年たちの独自解釈劇の現代らしい描写で不思議な感覚に陥る。物語は村山槐多についてあまり詳しくないので理解に追いつかなかった。だけど面白い、つまらないという感覚よりは何を見せられたんだ…という感覚。

今作はとにかく音。妙に空間にある音が聴覚を支配する。前述した通り見終わったあと少し聴覚過敏になってしまったくらい、本作の音作りの感覚にのまれる。
それでいながら佐藤寿保の時折見せるビジュアル的な映像が脳内にビッチリこびりつく。
一部の場面の影の使い方や、大量の舌の画像…。男女二人が血を浴びながらも愛撫を続ける場面は見たら忘れられなくなる。他にも渋谷の背景にマスクを合成した映像がアングラかつビジュアル性の高さがあって非常にかっこいい。深夜とかにいきなり流して見てみたい。
それ以外だと個人的には穴からローアングルで映した映像構図が記憶に残る。