寝木裕和

ロスの寝木裕和のレビュー・感想・評価

ロス(2000年製作の映画)
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ジェームズ・ベニングの作品はよく『実験的』という言葉で語られる。

ある一つの場所の風景を、ただ定点で捉えたものの堆積物。そんなふうに評されれば、とても無機質なもののような気がしてしまう。

でも、どんなジャンルの表現者でも、稀に『実験性』というものが原始的な、アタビスティックな境地にたどり着く人がいて。
ジェームズ・ベニングはまさにそんな表現者だと思う。

朝のジョギング、鉄工場で工員が溶接している様子、巨大な礼拝堂が出てくる家族連れ、スクールバスを待つヒスパニック系移民の親子、休日のサッカーグラウンド、…

90年代後半の日本でも、似たような風景の匂いみたいなものを感じられた気がする。いや、世界のどこでも。

無造作に風景を映し取っているようで、普遍的ななにかをキャッチしている。
寝木裕和

寝木裕和