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スキンフォード:処刑宣告のドントのレビュー・感想・評価

スキンフォード:処刑宣告(2022年製作の映画)
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 2022年。ハァーッもったいない、もったいない、と悶絶しながら観た。パシリの取引でやらかした青年、銃を突きつけられ自分を埋める穴を掘っていたら、女が埋められてる! えっ生きてる! アッ撃たれた! けど俺ケガひとつない! なんで? どうやらすごい能力の持ち主らしい生き埋め女と共に街の暗黒面を走る一夜の物語。
 まず主人公のキャラが面白い。文字通りの墓穴を掘らされているのになんかチャラいままで怯えたりもせず、しかし別に強いわけでもない。けどやたらと善良。そして女の何かよくわかんねぇが凄い感じがよい。不死の肉体、傷もつかない、身体に触ってると同様の能力になれる。
 さらに主人公が関わる街の暗部が邪悪でナイス。細かい理由や動機はうっちゃって「こういうことをしてます!」「こういう悪い奴です!」と力押しでゴリゴリ話を進めていく。広がりがやたらとありそうなのに描かないか匂わせる程度で終わる。「三日前」とか「一週間前」などの挿入は気にかるものの、中盤までの転がし方は心地よいほど。
 しかしながら、中盤を過ぎるとどうにもいけない。主役ふたりのモチベーションと背景と感情の勘定合わせがはじまって失速する。船内のおいかけっことか要らないし、時間が戻ったりするガチャついた流れにはどうにも乗れない。そこは気取らずに平行して描かないと美味しくないではありませんか。シリアスになっていくのなら、腰の重い語り方をしてほしい。
 着地点もエッ、そう……? みたいな、無理があるのに無難なポイントに落ちついちゃって、あらそう……みたいな気持ちになってしまう。終わりよくないのですべてよくない感じになっちゃった。役者連中もよくて、特に主人公スキニーの「なんだコイツ、殴ったろかな」みてぇな野郎だったのにどんどん善良さが出てくる様子なんか結構よかったのだ。
 そんなわけでキャラも設定もあとグロも、つまり素材はよいのにお料理の仕方がまずくて、ハァーッもったいない、もったいないと思ってしまったのだった。惜しいなぁ本当に。ウーン……
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