拝一刀

ヤジと民主主義 劇場拡大版の拝一刀のレビュー・感想・評価

5.0
2023/12/09ポレポレ東中野にて山﨑監督と落合恵子氏のアフタートーク付きの回を鑑賞。(満席)

この作品を鑑賞している間、昨年6月に見たドキュメンタリー映画『ナワリヌイ』でナワリヌイ支持者が当局の手によって排除・逮捕されていくシーンが何度もフラッシュバックしました。

映画は冒頭でニーメラー牧師の詩『彼らが最初共産主義者を攻撃したとき』から始まったので、昔読んだ丸山眞男の論文「現代における人間と政治」を思い出しました。

この詩の丸山眞男訳は以下の通りです。

ナチが共産主義者を襲つたとき、自分はやや不安になつた。けれども結局自分は共産主義者でなかつたので何もしなかった。

それからナチは社会主義者を攻撃した。自分の不安はやや増大した。けれども自分は依然として社会主義者ではなかつた。そこでやはり何もしなかつた。

それから学校が、新聞が、ユダヤ人が、というふうに次々と攻撃の手が加わり、そのたびに自分の不安は増したが、なおも何事も行わなかつた。

さてそれからナチは教会を攻撃した。そうして自分はまさに教会の人間であつた。そこで自分は何事かをした。しかしそのときにはすでに手遅れであつた。

「端緒に抵抗せよ」というのがこの「詩」と「映画」に共通するポイントです。
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