鹿山

ヤジと民主主義 劇場拡大版の鹿山のレビュー・感想・評価

3.7
 「言論の自由」というよりは、「暴力の独占=警察」の問題だった。札幌で警察の職権乱用事件があったのはシンプルに勉強になった。それはむろん批判されるべき横暴である。
 現代社会において「ドキュメンタリー映画」はなぜつくられるべきか、本作はその証明になっている。SNS全盛の現代社会において、個々の事案は文脈が切断されてしまいがちであり、それらをつなげるメディアとして映画はまだ有用なのだ。
 いうまでもなく、すべての物語は恣意的だ。だが、現実という素材を用いて、物語を紡ぐ技術と、紡がんとする意志に敬意を表したい。

 ところで、内容にはいっさい関係ないが、観客に政治意識高そうな紳士淑女しかいなかったことの方が恐ろしく感じた。50人以上の観客のうち、同年代はぼくとあとひとりだった。映画も政治も、けっきょくは前世紀の骨董品ってことか?
鹿山

鹿山