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ヤジと民主主義 劇場拡大版のmmmのレビュー・感想・評価

5.0
座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバルにて。

2019年の参院選、札幌で街頭演説中の安倍首相(当時)に
ヤジを飛ばし北海道警に取り押さえられている光景が
ニュースでちらりと放送されましたが、記憶にある方はいらっしゃいますか?

私もニュースで観ていただけで、その後のことはまったく知りませんでした。

不当に排除された(とされる)件、当事者であるお二方は裁判を起こし
うちお一方は現在も最高裁に上告中とのこと。

同行されていた方の実際の映像、この方たちの他にも会場で
アクションをしていた(しようとしていた)方々の話を交えながら
当時の状況の詳細と裁判の途中経過までを
HBCがドキュメンタリー作品にしたものです。


法律に明るくない素人の意見ですので、ツッコミどころ満載かもしれません。
また異なる考えをお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、
ひとつの感想として書いていきます。

会場は人で溢れ、自民党に肯定的なプラカードや小旗
(同じものだったので、党が配ったりしたものなのか?)
があちこちで掲げられる光景が広がっていました。

その中で、増税反対や辞めろなど自民党政権に対して
たった1人が声をあげた途端(※お二人とも別の位置)
警察官が数名集まり、居た場所から連れ出され、
囲まれ、身体に触れ、動きを静止され、
長時間つきまといを受けるという状況。

別の方は、サイレントでプラカードを掲げようとするも、
さりげなくそれを阻んだりプラカードを覆うように
立たれたりしているようにみえました。

偶然だとしたら、不思議なぐらい偶然って重なるのですね。

日本は法治国家ですから、それらの行為には法的理由があるはずですが、
何に起因するものかを尋ねても、答えと思しき発言のないまま、離してもらえない。

街頭演説とは、国民と直接向き合う場であり
ごく単純に、同じ声なのに都合の良いことはOKで、
都合が悪いとNGなんて怖いなぁと、とても不気味に感じました。

「聞く力」・・・ではないの?


裁判では、県警も法律に基づく行為として、何条の何にあたるかと
していましたが、この法の解釈というのも、時と場合で意味が変わってしまったり
ブレない為の決まり事かと思っていると、一審と二審で判断が変わってしまったり、
いったい、どこに正しさがあるのかと考えてしまいました。


仮に、声をあげた者に危害が及ぶための保護的なものであるとしたら
二審で出された、自民党員が二度ほど手をだしてきたのは暴力じゃないの?
その人は取り押さえないの?
本当に不思議な事ばかり。

そうでなくても、国民が声を上げづらい風潮をながらく抱えているし、
なんなら、声を上げることを悪とすら考えている人も一定いると考えると
麻生氏の「国民が〇〇でよかった」という趣旨の言葉を思い出したりします。


出来事としては、大きな中のほんのひとつなのかもしれませんが、
これから先、ひと声あげたことで、こんなことになってしまうのは怖い。

映画で?と言われたら、テレビの方が多くの人の目にふれる機会が多いのは
確かですが、ある程度興味をもって集まった人で鑑賞するというのは
ある種、意義のあることのような気がします。

(実この作品はテレビで放送した内容の拡大版だそうです)

一審の判決文が印象的でしたので、解説を含めたものを
自身のメモも兼ね、掲載します。
https://lex.lawlibrary.jp/commentary/pdf/z18817009-00-012042187_tkc.pdf

※ドキュメンタリーは、その人物のいきざまなので
基本スコアを5としています。
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