フジタジュンコ

SUNRISE TO SUNSETのフジタジュンコのレビュー・感想・評価

SUNRISE TO SUNSET(2023年製作の映画)
5.0
Pay money To my Painが存在していた、奇跡のような5623日。

私がPTPにハマっていたのは2010年ごろ。いろんなことがうまくいかなくて、しんどくて、つらくって、泣きながら仕事をしていて、爆音で音楽を聞くことで自分を支えていて、そういうときにアルバム「Another day comes」に出会って、ひらすらに聴いていた。ライブに行ったことはないけれど、少なくとも、あのころ、PTPの音楽が私を支えていてくれたのは確かだ。

私もなんとなく、Kはたぶんいつかふらっといなくなるんだろうな、と思っていた。そしてその予想の通り、ふらっといなくなった。Kの不在があまり現実のものとは思えていなかったけれど、それが、10年ほど経って、Kが死んだ、という事実をやっと理解した気がする。

ブレアフェスでステージにぽつんと存在しているマイクが痛々しかった。ああ、Kはもういないんだな。マイクのコードを腕にグルグルに巻き付けて、そうやって”歌うこと”から逃げられないように自分を縛っていたかのような、Kはもうここにはいない。

ツヨシがブレアフェスのMCで「Kはこんなに愛されてたのに、それに飽き足らずに、もっともっとって」と言っていて、いやもう、どんだけ私たちがKのこと好きだったと思ってんだよ。Kが憎んでいて、うっとうしくて、重荷で、ちょっとくらいは好きだった私たちは、まだ、今でも、Kのことが大好きだよ。

PTPの"音"がこれからもずっと残るのは救いだ。今は、私たちの前にPTPが現れてくれたことに、感謝しかない。