クリーム

アメリカン・フィクションのクリームのレビュー・感想・評価

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)
3.9
白人が思う黒人像がビジネス的にニーズがあるから儲かる。白人をディスってますが、実は主人公モンクが一番滑稽だと言う皮肉なブラックコメディ。黒人も白人も痛み分けみたいな感じが、なんか良いです。終盤に向かって面白くなり、ラストは最高でした。賞を取る作品だとは思わないけど、楽しく観賞しました。

小説家で英文学の教授のモンクは、著作に黒人らしさが足りないと評され、小説は売れません。しかし、ステレオタイプな黒人の辛い人生を求める世間ウケを狙った小説が売れている事に気付いていて、彼は、母に高額な介護費が必要になるとニーズに応えた黒人要素たっぷりな小説をペンネームで書き上げた。皮肉でやったつもりが、小説は破格の値段で即売れ。 その年を代表するベストセラーになり、ハリウッド映画化まで決まってしまう事に…。



ネタバレ↓



モンクは常々、偽善者的な白人に苛ついていた。黒人を揶揄する様な表現を現代では、それは相応しくなく不愉快だと言った学生に白人の癖に何が解る?解った風な事言ってんじゃねえと…。そんな感じなので、休職になります。
そして、疎遠だった姉の死、母のアルツハイマー、介護施設の入居費等、多額のお金が必要になります。
モンクは、新人黒人女性小説家のヒット作を真似て、白人にウケそうな黒人の物語を、偽名を使って「ファック」と言う題名で書き上げます。 ブラックジョークとして書き上げたのですが、出版社が食い付き大ヒット。しかも著者は、顔を出さず、指名手配犯で刑務所にいたという設定。しかし、お金が必要だったのでそのまま成り行きに任せます。そして、映画化まで決まってしまう。
その年のベストイヤー小説を選出する5名のうちの1人に選ばれたモンク。抵抗したけど授賞は、「ファック」。
授賞式の場面で、映画とリンクします。
監督とモンクがラストをどうするか相談します。
真実を暴露し、ケンカした彼女に謝りに行くラストは、監督が却下。
監督が選んだラストは、真実を暴露し、警官達が会場に押し寄せ、トロフィーを銃と勘違いした警官達に撃ち殺されると言うもの。
モンクは、それで合意し兄の車で撮影所を出て行くのだった。

監督の馬鹿さ加減に呆れ、お金を選んだモンク。白人が望む黒人の物語を書いてビジネスしている新人作家を白人の奴隷だとまで言っておいて、最終的に自分も乗っかる姿は滑稽でした。出て来る白人が皆アホで、かなり馬鹿にしてるけど、「アンテベラム」の様な挑発的な作品より好感が持てて、こう言うのはアリかなって思いました。
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