アーモンドフィッシュ

アメリカン・フィクションのアーモンドフィッシュのレビュー・感想・評価

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)
3.8
町山智浩さんがラジオで取り上げたことをきっかけに鑑賞。「アメリカン・フィクション」っていう映画、これは黒人に対するステレオタイプをちょっとおかしく描写してるコメディだと言えるかもしれません。面白いことに、この映画には実際のレイシストは出てこないんですよ。つまり、出てくる白人のほとんどは「差別はダメだよね」という規範を持ちつつも、彼らの奥底には依然として黒人に対するステレオタイプが残ってるわけです。これって、「バービー」の映画での本物の女性嫌悪者がいないのと同じような構造に感じられます。特に、主人公モンクの作品「FUCK」を文学賞に推す白人審査員と、それに異を唱える黒人審査員の間の対立はめちゃくちゃ興味深いですよね。白人審査員は「貧しい黒人にもチャンスを」という気持ちから、つまりはある種の同情心から行動しているんですよね。でも、モンクを含む黒人審査員たちは、そういう見方とは一線を画して、純粋に文学作品としての価値で判断しようとしています。

アマゾンプライムでR18指定された具体的な理由はよくわかりません。グロかったり過激な性的表現があったわけじゃないから、もしかしたら兄のクリフがドラッグを使うシーンが影響してるのかもしれないですね。でも、今年のアカデミー賞にノミネートされてるって考えると、やっぱり見る価値はあると思います。

特にジェフリー・ライトの演技には目を向けてほしいですね。彼のパフォーマンスはこの映画のハイライトの一つで、その演技力には本当に引き込まれます。