シノ

アメリカン・フィクションのシノのネタバレレビュー・内容・結末

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

途中まで好きだった、メタな終わり方が良くも悪くも今っぽい作品で確かに「映画らしく」終わらせた時どういうラストにしたかの方が気になるかな…。

■良かったところ
・姉も恋人も女性の作家も、モンクに嫌味を言われた時「つまりなにが言いたいの?」とか「は?」みたいな態度を当然のようにノータイムで返せていた所。強くてありがたい。
でも「黒人として差別を受けている」と自覚がありマイクロアグレッションも作中に出てきてムッとしたりするけど、被差別者も女性差別には鈍感で、それはわざとそうしたのかもだけど悲しくなったなあ。でもそのまま受け入れずにちゃんと言い返す女性ばかりで良かったという、良かったと言っていいのかわからないけどそういう感想。
・モンクが作り話を書き始めた時シーンが具現化した所、あの感じもう何回か見たかった。それ以降小説の内容は出ないから勿体無い。
・美学に反する事で売れてもそこに迎合せず美学を貫きたいのにお金には抗えずもらっておいてそれでもぐちぐち文句を言い続ける所。(同時に嫌なところでもあるけど話として)キャラクターの偏屈さとずるさがよく出てて良かった。
・音楽が良かった。セロニアスエリソンだから、セロニアスモンクをもじった名前なんだろうけど劇中曲もジャズピアノとかが多くて美しかった。

■ウーンなところ
・嘘小説を書く事で、その作者を演じる事で(もしかしたら本来あったかもしれない)凶暴性に支配されていきそうなところ、もっと破滅に近づくくらいそうなっても良かった。あれでは半端なモラハラ野郎で終わる。打ち明けないのは自分の選択なのに勝手にイライラしてパートナーに八つ当たりするな。
・ラスト、メタにする事で勢いが落ちたところ。好みはあるけど皮肉の効いた題材だからもっと何か上手いラストもありそうだった。
・姉の死や故父の不倫を自分が知らなかった事や母の認知症、同性愛者の兄などトピックが多い割にふわっとずつしか関わっていない感じ。自分が受け取れきれてないだけの可能性大だけど。
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