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アメリカン・フィクションのすずすのレビュー・感想・評価

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)
4.2
本年度アカデミー賞の複数ノミネート映画の中で、最も面白かった。

『マエストロ』、今後公開される『関心領域』『ホールドオーバー』は未見ではありますが…

主題の斬新さは群を抜き、皮肉の効かせ方はブニュエルさえ想起させられた。

主人公が作家で、アメリカ社会での黒人の地位という主題(公民権的ではない人々の無意識という点が真新しい)ですが、かなりインテリ向けな設定の中に、下世話な娯楽要素が上手く盛り込まれ、大いに笑えました。

介護、同性愛といった現代家族の問題に、『騙し絵の牙』的な出版界の内幕モノの殻を被せた作りで、家族問題はシリアスに走らせ、出版界を滑稽に戯画化した作りが面白いからだと思います。
特に審査員になってからドライブがかかり、パーティ場面は痛快です。

脚色賞の受賞は小説がメタフィクションである点を、映画化を軸にメタムービーに作り替えた手腕への評価の様で、兎も角、よく練られています。
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