きゃしぃ

アメリカン・フィクションのきゃしぃのレビュー・感想・評価

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)
4.1
昨今の創作物全体における“ポリコレ“問題を、最大限の“風刺“と“皮肉“で真正面から滅多切る傑作コメディ。

妹の死、母親の認知症が原因で己のポリシーを崩してまで書いた本来であれば評価されるべきでは無いはずの一冊の本が、思わぬ絶賛をされてしまい、右往左往する主人公の奮闘は、
映画や文学が好きな人が口には出さずとも不満に思っていた事に対して、非常に刺さる内容になっています。

そんな徹頭徹尾皮肉を押し固めた様な作品を仕上げているのはアカデミー主演男優賞にノミネートされたシェフリーライトに依る部分が大きく、
言葉少なくとも己の苦悩を見せる熟練した演技力は一見の価値アリ。

個人的にラストの展開が好みでは無いけれども、
「好みの展開ですら無いことすらも皮肉として機能する」までに至っているような、
風刺作品としてこれ以上無いといっていいレベルに昇華しているので、
最近の映画批判に疲れた方こそ観る事をオススメしたい一本です。
きゃしぃ

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