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アメリカン・フィクションのtomtomのレビュー・感想・評価

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)
2.7
ギャングや貧困をテーマにした作品ばかりが売れる黒人文学シーンに嫌気が差したインテリ黒人作家が、皮肉で書いたステレオタイプ全開の小説が、却って文学賞を取ってしまう話。

新潮社のクレストブック・シリーズで、「オスカーワオの凄まじい人生」や「アンネ・フランクについて語るときに僕たちの語ること」のような作品を読んで、アメリカのマイノリティ文学は面白いなとばかり思っていた。ただ、マイノリティの作家が人種属性の枠組みでばかり評価されてしまうというのも確かに差別で、それがマジョリティの偏見に寄り添うようなものであれば尚更だ。

そういう強い問題意識が脚本の根っこにあって、皮肉の強さに苦笑いしながらも共感できる内容になっている。ただ、ワンテンポで先が読めやすいプロットなので、娯楽作品としては、それほど楽しめなかったかもしれない。本で読んでいたらより楽しめたであろうと思った作品。
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