確かに主人公は人を見下すようなタイプの黒人だが、黒人の話だからと一線を引くのはもったいない。
映画のラストシーンに対する監督の言葉を解釈すると、「これからも免罪符のような作品は売られ続けるが、差別はなくならない。完璧は望めないので、僕らも少しだけ譲歩しよう。」だと思う。
不適切なジョークが散りばめられていたのが一番面白かったなんて言いにくいけど。
個人的な感想は、
主人公は、自分は白人の免罪符のために本を売ってると分析しているだけ他の人（偽善者）とは違うと考えようとしているが、自己欺瞞に気づくこともまた、免罪符を求める行為に過ぎないという本質に気が付いたのだと思う。
「自分は免罪符なんて求めていない」と思いこもうとする、新たな種類の免罪符に過ぎないだろうと。
だからこそ最後は「譲歩しよう」と思えたのだろう。
だから決してサブスクリプションで隣の国のドラマが世界で消費されるようになったり、権威あるアメリカの賞の授賞式でアジア人が壇上するようになったりしても卑屈になる必要はないと思った。意識する機会が少ないが、アジア人種の業界における地位が上がるほど有色人種の中で黒人以上に関心を持たれない（あるいは無視される側の）エスニックグループなのだと改めて気が付いても悲観することはない。
