アメリカンフィクション、そのまんまの作品でした。ピアノの表現が繊細で好き。曲が全体的に好きです。
あと作家の頭の中、みたいな表現が好き。
嫌味だし嫌なやつだし自分勝手だし素直じゃない主人公モンク。でも弱さも強がりも、短絡的で子供じみた言動も、真っ直ぐすぎる主張も、どれも人間味に溢れてて凄く好きだし共感できます。
この主人公が物語の中で、どう周りから影響を受け成長し、変わることを望むのか、それとも変わらぬ主張を持ち続けるのか。
コメディと風刺と現実を絶妙なバランスで駆け抜け、クスリとしたり引き攣った笑いが出たり、めちゃくちゃ面白くワクワクする作品でした。
そんな中で迎えたクライマックス。
はい、私が観てたものはアメリカンフィクションそのものでした。
だって現実ってこうでしょ?主義主張?それでアメリカを生き抜いていけるの?全部すっ飛ばしてダイレクトに答えを見せてあげるよ。答えは迎合だよ。って。
なんですかこれは。アメリカフィクションという名の二重構造のホラーですか。ホラーやミステリなら間違い無く★5です。
個人的には...この作品が評価されてることが心配でなりません。
めちゃくちゃ面白いし、好きなシーンは多い。ただ作品として好きではない。きっとこういう心の反動を狙ったのでしょうね。残念です。
アカデミー賞などを獲り、Amazonが買う。そんな名誉と商業化を積み重ねるほどに強くなる。恐ろしい子です。
あと、ひとつ前に観た作品と本作。事前情報なくピックアップしてしまった偶然と、行き着いてしまいがちな安直とも言える流れが満ちている気配に背筋が凍ります。