ヤスマサ

アメリカン・フィクションのヤスマサのレビュー・感想・評価

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)
3.5
自分が嫌悪しているスタイルの小説を偽名で書いた作家が、意に反して好評を得るも、公に出来ず右往左往する姿を描いたコメディードラマ。
小説家のモンク(ジェフリー・ライト)は、何年も本を出すことが出来ていないが、収入を得るために書きたくも無いステレオタイプな黒人小説を書くと、予想外の好評で映画化の話しまで進んでしまう。

人は得てして思い込みや常識でものを見がちだが、むしろ社会はそれを欲しているのかも知れない。
大まかなストーリーは面白いのだが、逼迫する家族の問題はかなり切実だ。
面白い面、問題視される面など、日本人には分かり難かったり、切実に感じられない所があるだろう。
それでも、世の中は往々にして思い通りに行かないということを、風刺を効かせた表現にどこかくすぐられる。
特に自分の意に反した小説を、品評の審査員になりながら、評価されぬよう抗う姿は秀逸だ。
家族や社会にある、見せかけの外観と真の姿との差異をブラック・コメディで表現した作品。
ただ…、そこから何か学ぶものがあるかどうかは分からない。
ヤスマサ

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