まみ

異人たちのまみのネタバレレビュー・内容・結末

異人たち(2023年製作の映画)
-

このレビューはネタバレを含みます

アンドリュー・スコットの顔にはほとんど光が当たらない。少なくとも全顔が照らされることはほとんどなかったはず(逆光の位置にいたりする)
暗いなかわずかに絞って彼を照らす光が、その顔のほうれい線や、ゴルゴ線や、毛穴の落ち窪みや、髭の下にある乾燥した肌をより深々と映し出す。
(その顔は横長の画面に、超クロースアップで映される)
ゲイであるということでいじめられ、閉じこもった時に父親が部屋に入ってきてくれなかった、あの時のかなしみを父に告白する時、年輪が刻まれた顔にこれまで癒されることがなかった子供の涙が流れる。確かに年を重ねてきた彼のまったく癒やされていない部分が露見した瞬間に、もはやもう忘れられていたと思っていた記憶が思い返されるようで痛い。でもアンドリュー・スコットの痛みはきっと眼差される時を待っていたはずだとおもう。どうしてもきえないものが見過ごされ続けることこそほんとうにつらいことだから。
まみ

まみ