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異人たちのろのネタバレレビュー・内容・結末

異人たち(2023年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

面白かった!ジュブナイル小説っぽさがあって(主人公は中年だけど)懐かしさもあるし、怖いし泣ける。このファンタジー/ジュブナイル感はたしかに大林宣彦の映像化があってそうな気がする。
4人の登場人物がマンションと家と電車とクラブと、あとはショッピングモールで過ごす。すごくすっきりしていて、素敵な映像もあいまって洗練されている印象なんだけど、場所の境界線が崩れていくからそれが怖い。
亡くなった親との再会っていう設定が泣けるけど、噛み合わない瞬間も結構早い段階で出てきてそれもよかった。あとは父親との会話の中で、自分のトラウマに対して謝られて感極まって泣く、みたいな細やかな脚本と演技も素敵だったなー。ずっと怒ってたり悲しかったりしたことがあってその原因が自分にとって大切な人で、それを打ち明けたときに真摯に謝られたらどうしようもなくて泣きたくなると思う。原作にもあるのかな。演技だとポール・メスカルの繊細さが危うい感じの演技もよかった。『アフターサン』みたい。あとは両親が矢継ぎ早に喋っててうるさくて、それがまた円満な家族な感じで泣けるしちょっと笑えた。
追記:NHKのインタビューがとても良かった。山田太一が自身を投影した作品に、現代の作家が自分のアイデンティティを重ねる改変を入れている。
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