MERCUryu

異人たちのMERCUryuのレビュー・感想・評価

異人たち(2023年製作の映画)
4.3
久しぶりに観終わった後、余韻に浸ってしまいゆっくり席を立った。不思議な話だった。だけど確実に誰しも自分に投影できる話だと思った。クィアの話と言ってしまえばそこまでかもしれない。けど、それだけじゃなく、人間誰しもが抱える孤独感と喪失に向き合うための愛の物語だった。
途中で、主人公が自分の孤独感について話すシーンは共感できた。家族・友人・恋人の有無に関わらず、元々心のどこかにずっと抱えている感情だったから。父親と幼少期のことについて本音で話し合うシーンも印象的。親だって人間で、家族といえど間違った行動を取ってしまう事もある。けれど子どもにとっては深い傷になることがよく分かるシーンだった。
両親はまだ存命でコミュニケーションも取れるが、ふともし今急に亡くなったらと考えることがある。話せていないことも沢山あるし、でもきっとそれ以上にもっと家族の時間を過ごしたかったと感じると思う。この歳になっても。そうした別れによる喪失感を埋めていくために、人は愛する人を見つけ、共に生きていくのかもしれない。そう考えると、この物語はあまりにも悲しすぎる。
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