アダムと私にはほとんど共通点はないだろう。年齢も性的指向も住む場所も、幼少期の経験もあらゆることが異なる。それなのにアダムの表情や言葉、変化の一つ一つに胸を打たれ、いつの間にか涙を流している。まるで異人のはずのアダムが、自分のテリトリーで生きている存在に感じてしまう。私が本作品から受け取ったテーマが「魂の救済」というあまりに普遍的なものだったからなのかもしれない。
全編通して演出や音楽がすごく好みだと思う瞬間がたくさんあった。現実の曖昧さを表しているようなシームレスな場面転換。象徴的な演出から伝わる葛藤や顛末には「ああ、、」と思わずため息が溢れる。そして何より、多くの方がすでに挙げている、”Always on my mind”を口ずさむ眼差し。耳元で聴こえる”The power of love”の一節。思い返すと大切だと思うシーンが多すぎるから、またゆっくりと鑑賞したい。
原作未読。むしろエンドロールで原作があることを知ったくらい前情報は皆無だった。映画オリジナルの設定も多いとのこと。最近映画を観るのをサボって小説ばかり読み漁っていたことだし、この原作も読んでみようと思う。
