つぐみ

異人たちのつぐみのレビュー・感想・評価

異人たち(2023年製作の映画)
4.0
シネフィルリトマス試験な作品だと感じた。全然難しいプロットじゃないんだけど「何が言いたいの?」って気分になる観客も少なくはないと思う。結論とかオチや消化のしやすさがほしい人には全く向いていない。余白だらけで、起きたまま見る夢のようなつかみどころのなさこそが真価だと思うけど、この侘び寂びがやっぱり日本製なんだナ〜という気がした。

ポール・メスカルがとんでもなく可愛くて色っぽくて、リドスコが体格を見込んでグラディエーター続編に見込んだのも納得。ゴズリンを彷彿とさせるところもある、アンドリュー・スコットもさすが舞台で鍛え上げただけあって俊敏さや軽やかさがレベチ。すごくセンシティブなんだけどアジャイル。「異人たちの夏」見たことないけど、勝手にこれも同時代80年代設定だと思ってたから何でクラブでブラーなのか引っかかってて、そもそもアダムの子ども時代、両親が若かりし頃が80年代ってこと?この人はいま40くらいに見えるからそこから30年後くらいってこと?と時間軸が全然見えませんでしたわ、でもそういうこともいちいち調べてから見たくないのよね…

しかし12歳で両親死別か…と思うと今年12歳になるガールがいる私は身につまされる。去年はアフターサンと怪物、6歳の時はパシュランギおじさんとその時々で重なる映画に出会うね。もし今娘と生き別れてしまったら死ぬに死ねない、絶対亡霊になって出ちゃうから、劇中ではアダムから会いに行く感じだったけど、あれは両親から会いにきてくれたんだと思いたい。もっとこうしたかった、もっと話したかった、あんなところに行きたかったって思ってるのは両親だって一緒だからさ🥲

アンドリュー・ヘイの過去作と比べると、色調が違うというのかな、絵のコントラストがくっきりしている印象を受けたけど監督自身の変化や成熟をリアルタイムで見られることも嬉しい。

Everything is different now.
つぐみ

つぐみ