サンタ

異人たちのサンタのレビュー・感想・評価

異人たち(2023年製作の映画)
4.3
「異人たち」
原題「All of Us Strangers」

“ロンドンで 静かな恋が 灯り出す。“

日本版は未鑑賞。
原作は「ふぞろいの林檎たち」や今作の基となる「異人たちとの夏」などを手がけた山田太一さん。
しかし、原作との変更点が多く、まず大きな違いはセクシュアリティで、日本版は男女の恋愛でしたが、イギリス版は、男性同士の恋愛となっています。
孤独な男性が、男性と出会い恋に落ちる。
異性愛ではなく、同性愛になったことで、同性愛ならではの悩みや過去などが描かれ、更に心温まる家族愛が加わることで、とても濃密でエモーショナルな愛のドラマになっていました。
田舎の実家🏡と都会のマンション🏙。
過去と現在。
この2つの対比が視覚的に表現されることで、主人公の不思議な体験がより美しく描かれていました。
田舎の実家はアンドリュー・ヘイ監督自身が幼少期に過ごした家を使っていることからリアリティがあり、1980〜90年代のノスタルジックな雰囲気を醸し出していて、最高でしたね✨
また、劇中にかかる音楽も良く、予告編にもかかっている「Always On My Mind」に始まり、クラブで流れる「Death of a Party」、神秘的なエンドロールの「The Power of Love」など。
どの音楽も場面と合っていて、最近だと「PERFECT DAYS」に似ていますね。
都会のマンションを見ていると、うちのおばあちゃんが話していた、
「都会のネオンはギラギラしていて明るいけれど、自分がうまくいっていないときに見ると寂しい想いになるの。」という言葉を思い出しました。
最後に、山田太一さんの小説を基に、同性愛の視点を織り交ぜて描かれた今作「異人たち」。
今まで同性愛の作品はR指定が多いので、少し抵抗があり、(元々から映画のベッドシーンが苦手なのもありますが。)今作を見るときも、R指定があるのであまり期待しないで見に行きました。
しかし、今作で描かれるのは誰もが抱える孤独、誰かといっしょにいたいという普遍的な思いを、同性愛・家族愛といった愛に溢れた物語と共に描かれていて、よかったです(๑˃̵ᴗ˂̵)
何があっても僕は君を守る。
当たり前に誰かと一緒にいられること、安心して眠れることに感謝したい。
過去と現在を繋ぐのは美しい映像美。両親や恋人との愛と別れの物語をぜひ映画館で見てみてください。
恋愛映画が好きな方や、ファンタジー映画が好きな方、1980〜90年代の雰囲気が好きな方はおすすめ‼️

〜あらすじ〜
ロンドンのタワーマンションに暮らす独身男性アダム。12歳の時に交通事故で両親を亡くして以来、孤独な人生を送っていた。脚本家の彼は現在、両親との思い出を基にした脚本を執筆していた。そのために両親と幼少期を過ごした郊外の家を訪ねたが...。

2024-06 👬
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