ミヤサン

異人たちのミヤサンのネタバレレビュー・内容・結末

異人たち(2023年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

エンドロールで流れる文字を見ていたら急に涙が出てきた。
そんな…あんまりだよ…と思うくらい悲しい結末なのに、とても救われた気持ちになる。
優しくて思いやりのある人が、愛されて幸せになるわけではけしてない。それでも。

冒頭3分くらいで急に「あ!これアンドリューヘイ監督だ!」と思うくらい(アンスコのことしか考えてなくて忘れてた)特有の色彩感。朝焼けかな、濃い青の美しさ。
まだWEEKENDしか観てないけど、それでも根底に流れるテーマが一貫してるのだなと感じた。

幼い頃に亡くなった両親に会いに生家に通うこと、自分以外の唯一のマンションの住人ハリーと惹かれ合うこと。
周りと同じにはなれないひりつくような痛みが、諦めというしこりとなって心に居座る。
去っていくハリーの「そのしこりを大きくしないでね」という、優しく触れる指先が忘れられない。
人を愛したことがないからハリーへの気持ちが分からないというアダムに父が尋ねる「彼を愛したいか?」も。


原作の知識がまったくない状態で観られたのは、私にとって良かったと思う。いつか読む!
アンスコ目当てで観に行ったけど、ポールメスカルがかわいくてかわいくて…






余談。アダムがゲイであることを知った母の反応がとてもリアルで心が重くなった。
私の母は、私が恋愛できないししたとしても結婚は無理ということを(まじめに話し合ったことは多分ないけど)時間をかけて理解しようとしてくれてて、別に理解とか許しとかいらんと思ってたけど、そうしてくれることは幸運なことだなと感じた。
あと、犬のいない実家に耐えられなくて春から一人暮らしを始めた身としては、寂しくて死んで腐るのがリアルな恐怖を伴った……
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