たばた

異人たちのたばたのレビュー・感想・評価

異人たち(2023年製作の映画)
4.5
アンドリュー・ヘイがゲイを主人公に長編映画を撮るのはデビュー作「WEEKEND」以来。製作発表された時点でぶち上がったし、とりあえず全肯定したい気分。
想像以上にゲイカルチャーと「ゲイであること」に真正面から向き合った作品で、「異人たちとの夏」のファンタジックな世界観とこんな風に融合させるのか!という驚きがまずある。そして何よりアンドリュー・スコットとポール・メスカルのケミストリーがとんでもないことになっていて、もうそれだけでこの映画に陶酔するには充分過ぎるほど。とにかくラブシーンが正しいしちょうどいい。この辺は流石アンドリュー・ヘイだと思った。

後半かなりウェットな演出があって、うわ〜と思ったけど、こういう描写から逃げちゃいけない時だってあるはず。ラストシーンもそうだけど、 これは彼の監督としての新境地だと感じた。

それにしてもアンドリュー・スコットである。繊細な表情芸が本当に凄い。自分が初めて彼をちゃんと認識したのは「ブラックミラー」のアレで、見たことある人だけど、こんなに良かったっけ?と驚いたものだった。同じくネトフリの「リプリー」も素晴らしいし、どんどん存在感を増していくのだろう。

「LOOKING」はドラマとして見れないほど感情移入してしまったのだけれど、アンドリュー・ヘイが自分と同い年だと知ってめちゃくちゃ納得してしまった。彼のようなフィルムメーカーに共鳴出来るのは、ゲイの一人として本当に幸運なことだと感じる。
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