同い年

異人たちの同い年のネタバレレビュー・内容・結末

異人たち(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

ピート・タウンゼントの「ロックンロールは、俺たちを悩みから解放してくれないかもしれない。だけど、悩みを抱えたまま踊らせてくれるんだ。」を思い出した。

対人関係に孤独の解消を求めるのは、求めすぎで、孤独を抱えたまま踊らせてくれる/一緒に踊ってくれるだけで十分なんだと思う。
これは他者に対する虚しい諦めってよりは、孤独への畏敬。他人一人に解消できるほど私たちの孤独は易しいものじゃない。


アダムが12歳の頃、両親が事故で亡くなったことについてアダムは、もう大昔のことだから…って言ったのに対してハリーが「寂しさに時間は関係ないでしょ」って返してるのが好きだった。

時間は流れてどこかに過ぎ去るわけじゃなくて堆積する。アダムは父親に、足を組むのはオカマっぽいからやめなさいって言われたことをその後40年近く、足を組む度に思い出してる。学校でイジメられて帰ってきて部屋で泣いてた時に、父親が入ってきてくれなかったことが、今ある孤独の根源になってる。

過去の傷は残り続けるし、完全に治すことはできないけど、遡行して癒されることはある。当時の傷付いた自分に「寂しかったね」って寄り添ってくれる他者、部屋に入ってきてくれる他者が現れることもある。こういう経験がごく稀にあるから、傷で死に損なってよかった、生き延びてよかったって思えるよね。
同い年

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