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異人たちのbuddyのレビュー・感想・評価

異人たち(2023年製作の映画)
3.3
《「透過」演出の意味が深い》
原作の予備知識を入れずに鑑賞したので、ストーリーや物語が進むにつれて伏線が回収されていく展開は興味深く楽しめた。序盤の夜が明けていく街並みのシーンにおける主人公アダムの表情が透過されていく演出は幻想的で美しく、その後も随所に透過する描写が多様されている意味が、異世界との繋がりを示しているようで納得した。

しかし、本作の重要なテーマである「孤独」や「喪失感」そしてそれらとどう向き合っていくのかを同性愛者の苦悩や葛藤として脚色したことに個人的には少し違和感を感じた。
監督自身が同性愛者であることもあり、ある程度理解できるが、物語自体が異質な作りであることから、主人公の生い立ちやキャラクターを原作通り、もしくはもう少しシンプルなものに脚色した方が作品に入り込みやすかった印象がある。とはいえ、アダム、ハリー、そしてアダムの両親の役柄は演じるのは物凄く難しかったと思うが、作品の世界観を壊さないキャスト陣の繊細なアプローチが素晴らしかった。
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