「流行り」や「ファッション」で寄り添うよりも、ただ純粋に「愛」があることが大切だった。
この作品を端的にいえば、「愛は偉大である」ということ。
主人公アダムが同じマンションに住むハリーと出会うことから、幼い頃に交通事故で亡くなったはずの両親と出会うという物語。タイムスリップをしている訳でもないし、幽霊との遭遇のようでそうともいいきれない。なんとも奇妙な物語でした。
とくに山田太一さんの原作も読まず、その映画化をした作品も鑑賞はしていません。そのうえで、予告編のみをみてから本作を鑑賞しました。ただ、どうしても「LGBTQ+」を扱っている作品に対して、鑑賞する前からどこか心配なものが多少どこかにありました。ですが、蓋を開けてみればそうでもなかった。
本作は同性愛を扱っていましたが、同性愛という価値観を押し付けられていたわけではなかったかと。それよりは、「みんな孤独に生きている」ということや「愛を知った者は他者に愛を与えられる」というところでしょう。
また、愛がテーマだったことは理解できましたし、同性愛でないとアダムの母親が心配のあまり反対する意図や父親がアダムの全てを分かり合うことはできなくても理解して向き合おうとする様は私にも伝わりました。あそこまで描くことができているところからは、流行りやファッションで同性愛という要素を取り入れたわけではないように思えました。
最後に、ネタバレにならないように濁して記載しますが、本作のエンディングに流れていたFrankie Goes To Hollywoodの楽曲で『The Power Of Love』が流れています。その楽曲のミュージックビデオ(以下MVと記載)がキリストの誕生を描かれています。ラストの作り方は、そのMVに影響を受けているようで、敬意を込めて作られていたように感じました。本作のラストからそのMVが始まるのかと思わせるよう。「愛を知った者が愛を与えられて、そして愛が生まれる。」といえばいいのでしょうか？
あの作り方からは、どこか考えさせるものがありました。
