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異人たちのkumamurakamiのレビュー・感想・評価

異人たち(2023年製作の映画)
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大林作品のそれはかなり呪術的なやり方だなあと思っていたが、その生死のシームレスさとは別角度の作品であったような気がする。
「人は死にゆく故」というよりも「人は孤独故」という立脚点から物語っていて、今これを作り直すことの意味がやっと理解できた。

改めて、自分の死んでいなくなった父親とこういう意味での会話をしなくなってしまった今となっては、責められているような、逆に言えば背き続けた孤独というものに無理矢理目を向けさせるようなある種の暴力性もその語りの内に秘めていて、非常に恐ろしい。

映画として非凡に巧みでありながら、全ては作り物であり、ドラマであり、そういう意味で自分を責める物語であり、だからこそ暴力的に簒奪されるものであり、そこには正義も悪もなく行われる営みであるという、あまり語られることのなかった物語るということのその意味をまでメタ的に浮き上がらせてしまっている。そして最後は宇宙に包まれる…
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