OKkyn

異人たちのOKkynのレビュー・感想・評価

異人たち(2023年製作の映画)
4.0
不思議な映画だった。
みてるときは、痛く苦しいんだけど,あとから思い返すと、あかるくて、あたたかい光やぬくもりに包まれているかのような。

ロンドン郊外、窓からの眺めがうつくしい。でもどこか遠くから見ているような客観的な生活。不気味に鳴り響く音、静寂がおそろしいと感じるほどの孤独、他人とのかかわりへの恐怖。アルコール、ドラッグ、ゲイかクイアか。なんであんなマンションにふたりしかいないのか。

願望が見せる幻なのか、トリップなのか、精神の歪みなのか、幽霊なのか判然としないまま、死んだはずの両親と成長した息子との、時代を超えると、超えても互いを理解できないことがある?

あれ、さっき拒否した人と仲良くなってる? 違う人? 同じ人? ああそういうことか。そういうところもホラーなのかファンタジーか、現実か幻か、願望なのか幻覚なのかが判然としないけど、そういうのも全部含めた狂おしさや叶えられなかったこと、気づかないようにしていた乾きとかが痛く伝わってきた。

この映画の元となった山田太一原作、大林宣彦監督「異人たちの夏」は未見だが、これはこれでおもしろい(みている人からは結構文句がおおいという余談)。

音楽がめちゃ80年代。そしてそれとともにあるエイズのこと。

異人なのは私と違ったあなたではなく、わたしたちみんな。だよね。そこがささる。all of us STRANGERS
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