このレビューはネタバレを含みます
山田太一の「異人たちとの夏」は、小説も映画も見てない。タイトルだけしか知らない。そんな感じで、本作を見たのだけど、好みの幻想譚だった。
ロンドンのタワマンにひとりで住むアダム。その部屋に同じマンションに住むハリーが、日本のウイスキーボトルを持ってくる。
初めましてで、いっしょに飲まないかと。ニヤけた笑顔で言われる。これはスリラー映画かなと思ったら違った。
亡くなったはずの両親が、亡くなった当時のままでアダムと会うというとんでもない展開。両親も大人になったアダムを受け入れる。
アダムは大人になった姿に違和感もあるのか、母親の前で濡れたTシャツを脱ぐのも恥じらう。
で、アダムはゲイだった。ハリーも。ふたりは愛し合うようになる。
孤独を感じながら生きている男の映画で、それはゲイであることもそうだった。
子どものころは言えなかった両親へのカミングアウト。そして両親に甘えるアダム。なんなら両親の方が少し若いぐらいの年齢なので、親子には見えないのだけど、幻想的な空気ではあまり無理も感じなかった。
部屋の遺体は、ハリーなのだろう。アダムはずっと幻想の中にいた。自分が書いている両親を題材にした脚本の中に入ってしまったのか。
私はGWに実家に帰った。両親に会った。もちろん健在なので、しっかり老いていた。