あなたのやさしさを何に例えよう

異人たちのあなたのやさしさを何に例えようのレビュー・感想・評価

異人たち(2023年製作の映画)
3.5
途中までは、セクシュアリティに対してこのレベルの作品をいま作る意味があるのか?と思った。
考え方が古い母親というステレオタイプを堂々と出していたり。

ショッピングセンターの中のシネコンで、21時の回を一人で観たのだが、これが22時の回とかじゃなくて良かった。事前情報を入れずに観に行ったが、怖くて仕方なかった。

父と母とダイナーでファミリースペシャルを頼んでお別れをするシーンは素晴らしかった
どんな死に方をしたのか、楽に逝けたのか。それに対する安堵や悔い。
愛ゆえの期待と落胆。3人の視線が切ない。

「星になれたら」って歌や詩ではよく言われるけど、そんなに星になりたいか? と疑問に思っていた。
本作のラストでは、ベッドで抱き合う二人は眩い光を放ち、文字通り星になった。とても美しかった。こういうふうに誰かと抱き合いながら光を放てるのであれば、わたしも星になりたい。

「エゴイスト」を観たときのことを思い出した。観る前から「これはゲイ映画だ」という前提で観たが、中盤から「これは別にゲイ映画ではない」と思った。ゲイの2人が愛し合っているだけで、勝手にゲイ映画だと決めつけていた自分を恐ろしいと思った。

▼他の方のレビューで印象に残ったメモ▼
この映画は、わからない。
わからないが、この映画の主張を理解しなければならないということを伝えてくれた。
そして、本質的にはそういった作品に価値があるんだということに気付かされた。

24.04.20
ユナイテッド・シネマ浦和