私に映画を観る時間をください

異人たちの私に映画を観る時間をくださいのレビュー・感想・評価

異人たち(2023年製作の映画)
4.0
連休後半初日に万難排していそいそと鑑賞しに行ったのに、お高いグランシアターでの上映のせいなのかワタクシひとり貸切状態。
え?え?この状態がすでに怖いんですけど?

という落ち着かない精神状態で観たせいか、事前に大林版を観るという余計なことをしたせいか、思考があちこちに飛び集中できず。

大林版はファンタジーであり、両親といる時の風間杜夫はとっつぁん坊やであった。

こちらはヒューマンドラマであり、両親といる時のアンドリュー・スコットは見事なまでに大人の見かけをした幼い子どもであった。

どこまでが現実なのか、大林版でははっきりわかったが、こちらはそれもわからない造りになっていて、はてなの渋滞は連休の高速道路並みだったが、物語の深さは比にならないほど深い。

All of us STRANGERS
私たちみなが異人
異人であるが故に受け入れられなかった後悔、受け入れてもらえなかった寂しさ
4人が抱えるそれぞれの後悔や寂しさをお互いに伝え受け入れ解消し前に進む(死んでるけれども)ための物語であった
と思う。

別の解釈をすれば、この映画で描かれた両親との日々、ハリーとの日々は、自分のありのままを受け入れてくれなかった両親を許したいという願い、冷たく追い払ってしまったハリーに許されたいという願いが、アダムに見せた幻影であるのかもしれない。


余談ですが、パンフレットの表紙、とても良いです。